ハートフルなラジオ
 
 
スーザン・ボイルさんという女性をご存じですか。
今年5月、イギリスのテレビ局のオーディション番組で、普通のおばさんルックスながら、審査員と会場全体が感嘆する美声を披露し、その様子が動画投稿サイト、ユーチューブで全世界の何億台ものパソコンで見られ、一躍、超有名人になった現代のシンデレラです。
まさしく、ネット時代を象徴した新現象です。

インターネットに比べると、新聞、雑誌、テレビ、ラジオという既存のマスメディアは影響力を低下させる一方です。特にラジオは消滅の危機さえささやかれました。でも、どっこいラジオは元気に生き残っている。視聴率調査会社のビデオリサーチが首都圏・関西圏・中京圏で実施した調査によると、他のメディアに比べ、ラジオは「癒される感じがする」「温かさ、ぬくもりが感じられる」という点ではトップでした。
「ハートフルなラジオ」として愛されているようですね。

しかし、なんと言ってもラジオが最も頼りにされるのは、地震や台風などの大災害に襲われたときです。1995年の阪神・淡路大震災がそれを証明しました。発生当初、何が起こったのか、今どうすればいいのかをリアルタイムで時々刻々、絶え間なく情報を伝え続けたのはラジオでした。各地のリスナーから電話による現場リポートを流し、パーソナリティーが励まし、こうしなさい、これはダメと行動指針を的確に指示して、被災者の不安を抑えました。復興期には水、電気、ガスといったライフライン情報をきめ細かく伝え、被災者の日々の生活に役立つメディアとしての存在感を示しました。身近なラジオの大切さに気づくと、市町村単位のコミュニティーFM局が増え始め、今では全国約200局に広がりました。

10万人以上の犠牲者を出した関東大震災(1923年)の9月1日を中心に8月30日〜9月5日は「防災週間」。新聞、テレビが情報の動脈、静脈だとすると、ラジオは全身に染みわたる毛細血管のような存在。秋の夜長、わが身の毛細血管を感じながら、ラジオに耳を傾けてはいかが。

medical mates September 2009