ユネスコの世界文化遺産に富士山や富岡製糸場が登録され、同じくユネスコの無形文化遺産に和食が登録されるなど、ここ1、2年はこれで日本の良さが世界に広まると日本中が盛り上がりました。漫画、アニメ、ゲーム、ファッション、最近では伝統工芸品といったカッコいい「クール・ジャパン」もますます広まっていてうれしい限りです。でもよく考えると、これはモノやコトへの愛着であって、ヒトにではありません。いや、ノーベル賞受賞者もたくさんいる、お・も・て・な・しは人間のサービスだという反論がありそうです。その通りです。科学や芸術やスポーツなど多分野で、多くの日本人が海外から高い評価を受けているのは事実です。


ただ、大衆文化の領域となると、言葉の壁もあって日本の人気者がすぐに世界中で愛されるのは難しいようです。そんな中、日本での公演チケットが完売になるほど人気のダンス集団「コンドルズ」は異例です。2000年のニューヨーク公演を皮切りに、ほぼ毎年海外公演を続ける日本で唯一のダンスカンパニーです。すでに20数カ国、2月の南アフリカ共和国公演で活動は5大陸に及びます。1996年に結成、学ラン姿がトレードマークになった10数人の男性ダンサーを軸にしたコンテンポラリーダンス集団。舞台では面白いこと、楽しいことをしようが合言葉。主宰の近藤良平さんいわく楽しい悪ふざけを目指しています。NHKテレビ「サラリーマンNEO」での、コミカルで風刺の利いた「サラリーマン体操」で笑った方もいるでしょう。


舞台の魅力の秘密は何か。公演前にその町を歩く。公園で少年たちと遊ぶ。市場で八百屋のおばさん、魚屋のおじさんとあいさつする。そんな庶民との交流映像を撮り、幕開けにスクリーンに映す。これで会場がワッと沸く。現地の話題や流行歌を仕込み、短時間の特訓で現地の言葉で話し、歌う。人気なのは、サッカー好きの少年が今はサラリーマン青年、という設定のコントダンス。サッカー選手になりたかった青年は、恋人とレストランでデート中にサッカーボールが飛び込んできたら彼女を吹っ飛ばしてでもボールを追う。自宅の風呂場でシャワー中にボールが来たら真っ裸のままボールをけるといった、夢を追い求めて一生懸命な姿がコミカルに描かれる。人間という生き物の弱さ・悲しさ、強さ・素晴らしさが浮き彫りにされるからこそ、国や民族という壁を超えて見る人の心を打つのでしょう。ローカルな地域文化を題材に入れ込みながら、グローバルに人間の魅力をアピールする舞台が、多くの国で共感の輪を作り出しています。日本の良さを売り込むという枠を超えた、これもまた日本人による大きな文化貢献と言えます。




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