劇的な逆転勝利が多かった。だから余計に盛り上がった。そんなオリンピックでしたね。日本選手団が今まで最多の41個のメダル金12・銀8・銅21を獲得した、南米初開催のリオデジャネイロ五輪。さあ、今度は4年後の東京の番です。閉会式で東京をPRする8分間のアトラクションも好評でした。テクノポップ調の音楽、若者ダンサー50人のロボット風ダンス、AR(拡張現実)を使った映像マジック。テレビ中継を見た地球上の36億人にクールジャパンの粋を印象づけました。そんな勢いに乗ってか、2020年の訪日外国人観光客を政府は当初の見通しの2000万人から4000万人にと一気に倍増しました。でも、大丈夫かな。


大丈夫。日本には、おもてなしの心があるから と多くの人が自慢します。でも実際に世界各地からいろいろな民族がやってくるとなると、まず言葉の問題が生じます。ニコニコ笑ってばかりいてもコミュニケ―ションは成り立ちません。五輪会場では優秀な通訳を雇うから大きな問題はないでしょうが、街に出た外国人が普通の日本人と会話する機会も爆発的に増えます。ただでさえ、アジアでも英語力が低いほうの日本。それに英語だけでなく、アジア、アフリカからのお客さんを含めると20〜30言語への対応が必要になります。鉄道、タクシー、ホテル、飲食店、百貨店などでは特訓でマニュアル通りに対応するでしょうが、日本列島のあちこちに言葉の壁が厳然と立ちはだかる不安が消えません。観光立国を目指す以上克服せねばならぬ難問です。


その言葉の壁を崩す強力な助っ人が今急成長中で、2020年には私たちの身近なものになりそうです。最新技術による音声自動翻訳機器です。現在、世界中の通信・電機・IT業界で開発競争が繰り広げられています。スマホに向けて日本語で話せば、目の前の外国人の母国語に即座に翻訳されて声が出る。産学官共同の国立研究開発法人 情報通信研究機構が中心になって31言語で開発中の「VOICETRA(ボイストラ)」ではすでに今年、成田空港や富士山登山口でスマホによる多言語同時翻訳を実施しています。今はまだ定型会話が多いですが、NTTドコモではデータ通信速度が現在の100倍になる第五世代通信規格(5G)を世界に先駆けて開発し、同時音声通訳の精度と速さを大幅アップすることを目指しています。成功すると、異言語間のふつうの会話が自然な間合いで通じる画期的な発明品です。どこの国の人が話しかけてきても私たち一人ひとりが気軽に応対できる、まさに1億総同時通訳時代の到来です。そういえば、リオ五輪の閉会式アトラクションにドラえもんが登場していましたね。ドラえもんには「ほんやくコンニャク」を食べると、言葉の通じなかった人とも会話が自由にできるようになるという秘密の食べ物がありました。クールジャパンの精髄、漫画・アニメの世界で描かれた夢が4年後には現実になる!? 日本のおもてなしの心がこうした形で深化すれば、きっと東京オリンピック・パラリンピックはメダル獲得競争よりも多様性に満ちた心温まる大会だったと記憶されるでしょう。そんな夢を見ていると、余計に2020年7月24日が待ち遠しくなります。




株式会社メディカルメイツ