今春、熱戦が続いて日本を沸かせたWBC(ワールド・ベイスボール・クラシック)。準決勝でアメリカに惜敗して世界一を逃したものの、日本チームの粘り強い戦いぶりに野球ファンのみならず日本人の多くが感動し、誇らしい気持ちになりました。その日本代表チームの愛称が「SAMURAI・JAPAN」でした。そういえば、サッカー日本代表チームも「サムライ・ブルー」の愛称を長年使っています。自分たち日本男児の理想形が「侍・サムライ」という認識なのでしょう。ところが、これが世界から見るとどうも少々違うようなのです。サムライ人気を大きく上回っているのが「忍者・ニンジャ・NINJA」なのです。日本人からすると気高い精神を持つ武士が主役で、その手先として裏で工作をする忍者はあくまで脇役に過ぎませんが、世界では忍者の方が愛されているようなのです。


例えば、同じ野球の世界で、キャッチャーのタッチを神業的な身のこなしで逃れて本塁セーフとなったイチローの走塁を米メディアは口をそろえて「忍者だ!」と絶賛しました。また、ワールドシリーズで優勝したレッドソックスの上原浩治投手の快刀乱麻の投球に対し、ボールを受けていたキャッチャーは「彼は忍者だ!」と興奮気味に話していました。いずれも最高級の誉め言葉です。アメリカでは1980年代にニンジャ・ブームが起きてコミック、アニメ、ドラマ、映画が次々と作られました。アンチ・ヒーロー、ダーク・ヒーローだった面もありましたが、黒装束で手裏剣やヌンチャクなどで闘うクレバーでカッコいい戦闘士というイメージが浸透しました。ハリウッド映画の影響もありイスラム圏にまでNINJAは知られ、日本発の漫画・アニメ『NARUTO〜ナルト〜』人気も世界の忍者愛に拍車をかけました。


世界文化遺産の富士山のすそ野、山梨県南都留郡忍野村に「忍野しのびの里」があります。近くの富士急ハイランドを経営する富士急が2015年にオープンした忍者テーマビレッジです。ここで、日本伝統の伊賀忍術の流れをくみ、それに現代の実践的な戦術を融合させた忍者パフォーマンス集団「??刃(らいふうじん)」がショーを繰り広げています。きらりと光る真剣を上段に構えて「エイッ」という掛け声とともに 稲藁束を一刀のもとに切り落とす緊張感に満ちた瞬間から、ユーモラスな解説付きでの手裏剣や吹矢の実践演技まで、見る人を楽しませながら正しい忍者の知識を教えてくれるショーです。広い庭園には忍者からくり屋敷や手裏剣道場など客が体験できる施設もあり、アジアの観光客が目立ちます。聞けば、年間13万人の入場者のうち約2割もが外国人観光客だということです。もちろん、忍者の故郷である三重県伊賀市や滋賀県甲賀市にも忍者博物館や忍術屋敷があり、多くの実演ショーや体験コースが用意されています。忍者ツアーを企画したらアジア各地からあっという間に観光客が集まる時代です。欧米からの観光客の中には、忍者道場に入門して体験するのを目的に来日する父と息子も増加中とか。さらに一歩踏み出して、古武道を本格的に学びに来る外国人も年々多くなっているそうです。まだ忍者の本当の姿が正しく理解されているとは言えないものの、こんなに世界中に愛されているキャラクターを脇役、B級グルメ扱いにしておくのはもったいない。「NINJA・JAPAN」をもっと楽しく多角的に売りだしたらどうでしょう。忍者は世界をつなぐ!




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