3月の声を聞くと、心は少し軽く感じて、体も前に前に動くようですね。陽気に誘われて、冬ごもりをしていた虫たちが土の中から姿を現わす啓蟄(今年は3月6日)を過ぎると、そろそろ桜の便りも聞こえてきて、春の行楽シーズンがやってきます。ドライブやバスツアーで、ちょっと一休みするときに人気なのが全国に点在する道の駅です。第1号が誕生してからこの4月で25年になります。その間に少しずつ増え続けて、今や47都道府県すべてにあり、総数1134カ所。有料の高速道路にはサービスエリアやパーキングエリアがありますが、一般道には以前は民間のドライブインや喫茶店がところどころにある程度でした。そこで地元自治体と建設省(今の国土交通省)が提携し、誰でも24時間使える休憩施設や商業施設、駐車場を備えた「道の駅」をスタートさせたのが始まりです。


道の駅の魅力は何といっても、その土地の特産物が買えることでしょう。野菜や果物や畜産物や獲れたての魚介類が手に入ります。『道の駅 旅案内全国地図』(ゼンリン)という雑誌や全国道の駅連絡会のホームページを見ると、北海道厚岸町の牡蠣、富山県氷見市の寒ブリ、栃木県茂木町のいちご、高知県四万十川町の四万十ポーク…など地元産の新鮮な特産品であふれています。もちろん、道の駅でそのまま食べることもでき、最近では「旅の途中で休憩するため」というよりも、「道の駅に行くことが旅の目的」というファンが多いようです。施設も進化しており、知床の漁師の番屋ふう建物(北海道斜里市)、廃小学校を利用した宿泊施設(千葉県鋸南町)、海の駅と道の駅を併設したショッピングタウン(静岡県伊東市)、甲子園球場8個分の敷地にホテルや牧場を完備(京都市京丹後市)、桜島を眺望できる露天風呂の温泉(鹿児島県垂水市)…と土地の個性を生かしたエリアが増えています。漁港近くの道の駅では、その朝に水揚げされた鮮魚を求めて開店前から行列ができるところ(岡山県笠岡市や福岡県宗像市など)もあります。


道の駅のおかげで地元の生産者、自治体も元気が出てきました。遠方からクルマで来る人たちに地元の特産品を売るだけでなく、蕎麦打ち教室を開いたり、伝統芸能を見せたりなどして、地元の魅力をアピールして観光情報を発信、あるいは移住誘致へと繋げる努力もしています。道の駅を拠点にひなびた田舎が活気を取り戻して、農漁村の高齢者の生きがいにもなっている例が少なくありません。拠点といえば、もう一つ大事な働きがありました。道の駅が防災拠点・災害支援拠点としても使われているという点です。地震や豪雨などの自然災害が起きたときのために、住民の一時避難先としてだけでなく、自衛隊や消防隊の中継・情報基地としての機能が加わりました。東日本大震災や熊本地震の例では、一段落した後、被災地の特産品を売り出すことで復興支援の役割も担っていることが実証されました。同じような自然災害に見舞われることの多いタイやベトナムやインドネシアなどでも道の駅を作る動きがあるそうです。町の治安を守る交番としての役割とともに、美味と安全を提供する憩いの場「道の駅」という日本人の発明品が、多くの国に受け入れられるのは気持ちのいいことですね。




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