「やまとなでしこ」と言ったら、気品があって奥ゆかしく、自分の感情を抑えながらも男性をしっかりと支える、芯のある日本女性の典型が原イメージでしょうか。でも今回の財務省事務次官のセクハラ発言による辞任劇で一変。光と影、の影の部分が浮き彫りにされています。あいまいな微笑の下、自己主張をせずに男性の意のままに操られ、性的な屈辱にもじっと耐え続ける…といった女性像を欧米メディアが世界に発信しています。日本という国は、まだ男尊女卑の社会だとも。そういえば、世界144カ国の女性の社会的地位のランキングでは、日本はなんと114位でした。


テレビ朝日の女性記者がセクハラ被害を上司に訴えていたのに、報道も抗議もせず、結果として「我慢しなさい」との対応に終わったために、女性記者が週刊新潮編集部に駆け込んで録音テープを明らかにして、事の顛末が露見したという経緯。ここにも日本社会の体質が如実に表れており、「日本ではセクハラや性的暴行が議論の対象になりにくく、こうした辞任は異例だ」と米の新聞ニューヨーク・タイムズが喝破しています。英公共放送BBCが「政治や企業の中に大きなジェンダーギャップ(性差別)がある」と指摘するように、制度的に弱い立場にある女性社員・従業員は解雇や左遷を恐れてセクハラ被害を言い出せずに我慢してしまい、内部告発の叫びをなかなか上げられない現状があります。今回、「あれはハニートラップだ」という声が多くの男性から上がったのも事実です。ただ変革の兆しはあります。昨年、アメリカのハリウッドの大物プロデューサーによる100人を超える女優らに対するセクハラ行為を一人の女優、アシュレイ・ジャッドさんが実名で告発して以来、「私も被害者!」とツイッター上で次々名乗りを上げる女性が現われ、「#Me Too」運動が世界に広まりました。この第一報を報道したニューヨーク・タイムズ紙が優れた報道に対して与えられるピューリッツァー賞を獲得したのが、日本での財務事務次官辞任の3日前というタイミングも示唆的でした。国を超えてセクハラを許さないという空気が広まりつつあります。


ただ、この空気や運動が日本社会の体質変革にまで至るかというと、楽観はできません。女性を対等なパートナーとみなさないのは政治や企業の世界で権力を持つ男性だけというわけではなく、私たちの周りにもたくさんいるからです。そう、痴漢という存在です。最近、イギリスやカナダでは日本渡航者向けのパンフレットに「痴漢に注意」と書かれており、フランスでは痴漢被害に6年間もあっていた日本女性の手記が昨秋出版され、50以上のメディアが日本社会の異常さを批判しています。警視庁管内だけで2016年に3217件を検挙。でも実数はこの10倍以上と推測され、「言い出せなかった」「我慢した」「自分の方が悪いと言われた」などの理由から、犯罪性を軽くとらえて見逃す風土が培われて、「不愉快な日常風景」と化してしまいました。近年海外メディアによって頻繁に報じられて、今や「CHIKAN」という言葉が国際的に通じ始めているという不名誉な事態になっています。世界どこの国でもこんな男はいるもんだという男性側の開き直り発言とは裏腹に、依存症の一種である痴漢行為は、残念ながら極めて日本人男性に特有な性嗜好障害だというのが医師・研究者の見解です。「国民病ともいうべき宿痾(しゅくあ)」という認識と自責の念を持つべき時期に来ています。外国人が作り上げるSAMURAI(侍)という虚像に酔うよりも、日本男子はまず女性との関係を見直して男尊女卑社会を変えていく、そんな運動に賛同する男性版「#MeToo」が日本で広がればいいのですが。




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