この6月20日は、ちょっとした騒ぎになりそう。え、何があるのかって? 2020東京オリンピックの観戦チケットの抽選結果が発表される日なんです。「当たった!」「やった!」と歓喜に小躍りする人がいる一方、「やばい」「くじ運、悪い!」とうなだれる人の姿も全国各地で見られそうです。5月9日の販売サイトでの受付開始直後からアクセスが殺到して販売手続きが混乱した、というつまずきはありましたが、予定より12時間延長した5月29日午前中の締め切り時刻までに、ID登録750万件超のアクセスがあり、関心の高さを証明しました。


でも、「当たった」と喜ぶ人たちも、その興奮が冷めてみると、結構高額なチケットがずらずらと並んでいるのに改めて気づくでしょう。最高額を見てみると、開会式の30万円を筆頭に、閉会式22万円、陸上競技(100メートル決勝の日)13万円、競泳10万8000円、体操7万2000円、野球6万7500円、柔道5万4000円・・・・・・。競技別では、世界的に人気の高い種目や日本のメダル獲得が期待される種目に高値設定がされています。大会組織委員会の皮算用では、パラリンピックも含めてチケット販売収入を約820億円と見込んでいます。もっと手に入れやすいチケットもあります。一般チケットの最低額は2500円で、全体の約半分が平均8000円以下のものだそうです。申し込むのを忘れたという人も、まだチャンスがあります。大会チケット総数780万枚の大半は今回の抽選で売られますが、残ったチケットをこの秋に先着順販売するほか、来年春以降、直前の追加販売をする予定です。


準備着々、大会ムードも盛り上がっているという印象ですが、当初の構想とどんどんずれてきているのが気になります。招致のプレゼンの時には費用があまりかからないコンパクトな大会を“公約”にしていたのに、いざ開催が決まると運営費はどんどん膨らんできています。東日本大震災を見据えた復興五輪との掛け声も、今や中身の乏しいものになりかけています。世界のスポーツの祭典だから予定より金がかかってもしようがないよという日本人のお祭り意識がここにきて露呈しています。コスト感覚が弱いのは私たちの税金を何にどう使うのがベストかという納税者意識が低いせいでしょう。前回2016年のリオデジャネイロ五輪ではこんなイベントに巨額を使うより、国民の福祉にもっと金を使うべきだと抗議のデモが大会中も続いていたのが印象的でした。今後の開催候補地も、国威発揚を狙う国々は別として、納税者である市民の同意が得られないで立候補を取りやめる都市が相次いでいます。少子化・超高齢・人口減社会へと急速に向かっていると同時に、緩やかながらも経済衰退国家へと転げ落ち始めている。そんな時代認識と危機意識を持つとすれば、「がんばれニッポン!」の大合唱をバックにオリンピックを感動物語一色に染めるメディアと距離を置いて、熱しやすく冷めやすい民族精神にのみ込まれずに、「国民一丸となって」や「一億総〇〇」という発想とお別れする人が増えてくる予感がします。すでに、団塊世代が享受した「大きいことはいいことだ」や「大量生産・大量消費」に背を向けて、身の丈に合った生活を志向する平成生まれの若者たちが、「令和」という新時代を迎えて、そうした新しい日本人の生き方を強めていくのかどうか。東京オリンピックが一つのリトマス試験紙になるかもしれません。




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