日本にこんなにたくさんのラグビーファンがいたのか。そんな驚きの声が、家庭や職場や街角で渦巻いたこの秋でした。9月20日から11月2日まで熱戦が繰り広げられたラグビーワールドカップ2019日本大会です。1987年の第1回大会から4年に1度開催されるラグビー界の世界一を決める一大イベント。9回目を迎え、初の日本開催です。ニュージーランドなどの強豪国と日本チームとの実力差があまりにも大きい野球やサッカーに比べたら、競技人口も観客動員数もけた違いに少ない日本では、もり上がるはずがないと開催前には冷ややかな空気が列島を覆っていました。ところが、20チーム参加で5チームごとに争う予選プールAで、日本チームはアイルランドやスコットランドという強豪を倒して4戦全勝! 初のベスト8進出を決め、決勝トーナメント準々決勝戦で南アフリカに敗れはしたものの、いずれの試合も正々堂々の攻めの姿勢を見せ、ラグビーというスポーツの魅力を存分に見せてくれました。ルールもよく知らない人たちが急に試合内容を熱く語り始める光景があちらこちらで見られ、年末の流行語大賞に「にわかファン」がノミネートされそうな勢いです。


このもり上がりのみなもとはやはり、猛練習に耐えて実力を発揮した選手たちです。でも、日本代表に選ばれた31人の顔立ちを見て、一見日本人とは見えない何人かがいて、ホントの日本代表?と違和感を抱いた人もいたはずです。ここが2019年という今を象徴する要素、ダイバーシティー(多様性)そのものです。ラグビーはサッカーなど他のスポーツ競技とは違って、選手個々人の国籍ではなく、それぞれの国のラグビー協会に所属するかどうかで代表を選べる仕組みになっています。もちろん細かい規定があって、国籍は他でも出生地が当該国・両親および祖父母のうち一人が当該国の出身などをクリアーしていれば、その国のラグビー協会代表になれて、国際試合にその国の代表選手として出場できるシステムになっています。この大会では31人中、ニュージーランド、トンガ、南アフリカ、サモア、オーストラリア、韓国の6カ国15人が外国ルーツを持っています。といっても、マイケルリーチ主将のように15歳で来日して高校でプレーし始めるなど、中学、高校、大学から日本で活動してきた選手が大半で、中には日本人女性と結婚し、日本国籍取得者も数人います。一見混合チームのようですが、国歌「君が代」の意味を全員で学習、歌詞の「さざれ石」のある現場まで行くなど、日本人の精神を理解しようと努力しました。日本の勝利のために一つになるという強い決意の下、「ONE TEAM(ワンチーム)」を合言葉にしたほどです。


今回のラグビー日本チームの躍進に感動した多くの日本人がいた事実は、これからの日本社会に何をもたらすのでしょうか。幕末に鎖国を解いてから150年たったものの、今でも日本という国は日本人だけが住む(べき)ところという意識がなくなりません。肌の色や言葉が違う民族のルーツを持つ人たちをガイジンとして日本人の仲間に入れようとしてきませんでした。でも、例えば最近のスポーツ界では、テニスの世界ランキング1位になった大坂なおみさん、100メートル9秒97の日本記録を出したアブドラ・サニブラウン・ハキームさん、米プロバスケット最高峰NBAで活躍している八村塁さん……などいろいろな日本人が注目されています。今年4月から「特定技能」を持つ外国人に日本で働くことを許す法律ができ長く日本に住めるようになりました。今や300万人にもなろうかという国内の外国人。違いのある人たちと共生するというのが今の政府のポリシーです。来年には東京オリンピックも開かれます。純粋な日本人だけが日本人という保守的な考えにこだわらない流れが加速するでしょうか。日本史年表に、今の時代を心の中のバリアーがなくなるという意味で「第二の開国」と、後世の歴史家が著述する社会になるかどうか。




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